JETとは
JETプログラムは、「語学指導等を行う外国青年招致事業」(The Japan Exchange and Teaching Programme)の略称で、地方自治体が総務省、外務省、文部科学省及び一般財団法人自治体国際化協会(CLAIR)の協力の下に実施しています。
JETプログラムは主に海外の青年を招致し、地方自治体、教育委員会及び全国の小・中学校や高等学校で、国際交流の業務と外国語教育に携わることにより、地域レベルでの草の根の国際化を推進することを目的としています。
国内はもとより、世界各国から大規模な国際的人的交流として高く評価されており、このプログラムに係わる日本の各地域の人々と参加者が国際的なネットワークをつくり、国際社会において豊かな成果を実らせることが期待されています。
都立学校でのJET配置人数の拡大
都教育委員会では、平成25年度からJETプログラムを活用し、段階的に配置を拡大してきました。
平成26年度には100人、平成30年度には240人を任用し、都内全都立高等学校に配置しています。
また、令和5年夏からは、都立学校91校において、JET参加者の複数配置(2名以上)を行っています。
JETの配置拡大を通じて、授業内外での英語を用いたコミュニケーション機会の増加を図るとともに、オンライン英会話の実施等と組み合わせ、「使える英語力」の育成を一層推進していきます。
JET複数名配置校での活用事例
ALTとは
ALT(Assistant Language Teacher)と呼ばれる外国人英語等教育補助員です。
JET・ALTともにネイティブの指導者であり、都立高校の全ての学年で、ネイティブによる指導を毎週実施しています。
ここでは、様々なJET・ALTの様々な活動を紹介します。
英語の授業紹介
授業は、日本人英語教員とJET参加者が協働して実施します。
様々な授業スタイルやインタビューを通じ、JETを取り入れた授業の魅力や効果をご紹介します。
多様な活動紹介
JETの魅力は英語の授業だけではありません。幅広い活動状況をご紹介します。
JET向け研修の実施
都教育委員会では、JET全員を対象にした来日時研修と指導力等向上研修の2種類を実施しています。
来日時研修
来日直後のJETに対し、東京都の教育制度や日本での生活についての知識の習得を通じて、JETとしての勤務を円滑に開始するための研修です。
実際の研修の様子をご紹介します。
令和5年夏
日程
- 令和5年8月2日~3日
- 令和5年8月9日~10日
研修内容
<1日目>
- 都教委のJETとしての勤務条件について
- 東京都の職員としての職務について
- 日本における生活全般について
- 先輩JETによる講義及びグループ・ディスカッション全体講義の後、グループに分かれてディスカッションを行いました。
新規来日JETは、日本での新生活や、学校での教員や生徒との接し方等について積極的に質問し、先輩JETが自身の経験をもとに親身に答えていました。
このことを通じて、JET間の縦のつながりが構築されました。 - ケーススタディ学校で教員や生徒と関わっていく中で発生しうる、様々な状況を想定したケーススタディを実施しました。
自国と日本、それぞれの文化の差異を認識した上で、学校の一員として様々な状況に適切に対処できることを目的としています。
特に、教員や生徒との綿密なコミュニケーションの重要性を繰り返し伝えています。
<2日目>
2日目は、JETが配属される都立学校の教員(JTE)も参加しました。
- 東京都の教育施策及び教育課題について
- 異文化理解について
JETとJTEの双方を対象に、異文化理解についての講義を行いました。
JETとJTEの関係性構築のために最も大切なのは、適切なコミュニケーションです。
そこでまず、それぞれの出身国の文化や社会的慣習が、日本とどのように違っているかを、ディスカッションを交えて考えました。
例えば話し合いの際の主張の仕方一つを取っても、日本では直接的な表現を避ける傾向がある一方で、JETの出身国の中には、より直接的に言及を行う国があること等を認識しました。 - レッスンプランの作成演習
JETに事前課題として配布した教材資料をもとに、実際に1時間分の授業計画の作成に取り組みました。
JTEから、それぞれの学校の生徒の様子についてヒアリングしながら、効果的な授業のためにどのような工夫ができるか、活発に話し合いを行いました。
最後に、いくつかのペアが作成したレッスンプランを発表し、生徒とのコミュニケーションの取り方や、授業で工夫する点や注意する点を中心に、全体に向けて共有を行いました。
指導力等向上研修
JETが効果的な語学指導に必要な知識や指導技術等を習得するとともに、外国語教育に係る諸課題について理解を深めることにより、指導力向上を図る研修で、毎年、受講が義務付けられています。
主な内容は、次のとおりです。
指導力等向上研修概要
研修内容
指導力向上
- 基調講演(効果的なティーム・ティーチング、ALTの役割)
- 実践事例発表(効果的な言語活動、効果的なティーム・ティーチング)
- 技能別演習(コミュニケーション・スキルの指導と評価、語彙指導、4技能を統合した指導、学習者の動機付け)
学校での勤務について
- 講義(英語教育、国際理解教育、日本の伝統・文化の良さを発信する能力・態度の育成事業)
- 東京都の人権教育(生徒との関わり、教室環境、文書作成、個人情報)
- ケース・スタディ(教職員とのコミュニケーション等)
- 授業外の取組(学校行事、部活動、その他の行事への参加)
- 課外活動における指導(部活動、学校行事、広報活動、地域行事等)
続いて、平成28年1月に実施された指導力等向上研修の一部を御紹介します。
指導力等向上研修では、日頃は各学校にて生徒の指導にあたっているJETが集まり、効果的なティーム・ティーチングの実践を共有したり、4技能を統合した言語活動の指導及びJETの職務上の課題と解決の方策等について学習したりしました。
その他、効果的なティーム・ティーチング及びALTの役割を理解するための基調講演では、一般財団法人英語教育協議会(ELEC)講師管理部次長 Neil DeMaere氏による「A Survey of ELT Approaches / Methods and their Application in the Class room」をテーマとした講演が行われました。
任期満了JET 退職セレモニー
都教育委員会では、任用期間を満了するJETに対し、東京都の英語教育への貢献に改めて感謝の意を表すとともに、帰国後も国際交流の「大使」として活躍してほしいという思いで、退職セレモニーを実施しています。