都内公立学校の英語科教員、小学校教員に加え、幅広い教員(管理職・指導主事等を含む)を海外の大学等に派遣します。
派遣された教員は、研修の成果を自校のみならず、自地区の他の教員に広めることにより、英語の授業改善やグローバル人材育成を推進します。
■英語教育推進プログラム(派遣期間:約「1か月」)
「最新の英語教授法」等を学び、異文化への理解を深めることで、児童・生徒の英語によるコミュニケーション能力の向上につながる指導方法を身に付けます。
■グローバル教育推進プログラム(新設:派遣期間:約「1週間」)
海外の教育事情・国際交流・多文化共生への理解を深め、自校や地域での教育活動へ活用する力を身に付けます。
研修内容(英語教育推進プログラム)
授業内容例
- 言語としての英語に関する知識、英語教授の裏付けとなる知識、指導案、指導方法(ICTの活用を含む。)等を盛り込んだTESOLの習得
- IB(国際バカロレア)認定校での教育実習
- 国際交流に関するプログラムの履修
- TESOLに関連した題材を通しての4技能の向上
- スピーチ、ディベートに関するワークショップを盛り込んだ効果的な指導法の習得
- プレゼンテーション・テクニックとアクティビティ、リスニング技能指導法、発音指導
- 派遣先国の歴史、文化、教育行政に関するフィールドワーク
- 大学における教育学に関する講義の聴講
関係機関・学校訪問
- 派遣先国の小中高校等の授業の視察、指導補助体験
- 現地校教員との意見交換
- 現地教育委員会の訪問、情報交換
ホームステイ
- ホームステイ(英語による日常生活や現地の習慣、文化等の体験)
研修内容(グローバル教育推進プログラム)
- 派遣先国の教育事情に関する講義の聴講
- 現地校教員との意見交換
- 海外大学や現地企業訪問
派遣先一覧
派遣経験者の声
当該研修に参加した先生方に、御意見を伺いました。
質問:
本研修は自身の英語指導力向上に役立ちましたか?
回答:
理論だけでなく発音、評価など多くの観点から自分の指導を見つめる良い機会でした。教授法だけでなく、実際に海外大学の授業で用いられているアクティビティも実用的でした。(中学校)
生徒が興味をもつ活動を学び、帰国後に実施した際に、生徒が活発に取り組んでいます。(中学校)
大学の授業の密度の濃さと課題の量にはじめは驚きましたが、大学の先生が親身になって質問や相談に応じてくださり、また、同じクラスの受講者と助け合いながら、自身の指導力向上に役に立つ多くのことを学び、本当に良い経験とすることができました。(高等学校)
質問:
本研修は、自身の語学力の向上に役立ちましたか?
回答:
ホストファミリーとの会話、毎週日曜日に行われていた友人との朝食会などで会話を練習する機会に多く恵まれました。
大学の授業でも、読む(予習)、聞く(講義)、話す(ディスカッション)、書く(課題のレポート)の4技能をバランスよく訓練することができ、語学力の向上に役立ちました。(高等学校)
質問:
本研修は、異文化理解の向上に役立ちましたか?
回答:
文化交流活動や休日のアクティビティ、ホームステイなどを通して、様々な文化を体験することができました。
また、クラスには多くの異なる国籍の学生がいたため、異文化理解を深めることができました。(中学校)
質問:
研修開始時と終了時に行ったレッスンアセスメントは、自身の英語指導力を測定するのに、適切な方法でしたか?
回答:
開始時と終了時に行うことで、大学で学んだ知識をどのように自身の授業に取り入れて行くかをしっかりと考え、挑戦することができました。
また、クラスメイトの授業の変化をお互いに見ることができたことも良かったです。(中学校)
平成31年度外国語(英語)科教員等の海外派遣研修報告会・シンポジウムの開催報告
都教育委員会は、令和元年11月21日(木)に教職員研修センターで「平成31年度外国語(英語)科教員等の海外派遣研修報告会・シンポジウム」を開催し、研修成果の普及、還元を図りました。
第1部 協議会
派遣機関ごとに研修室に分かれ協議会を行いました。まず、派遣教員の代表からの実践発表があり、その後、研修での成果や帰国後にどのような授業実践を行ったか、今後、それぞれの派遣教員が抱える課題をどのように解決していくのかについて具体的に協議を行いました。
派遣教員からは、「今の自分の指導が振り返ることができた。」という感想が複数あり、研修で学んだことを再確認できる良い機会となりました。協議には現地機関担当者も協議に加わり、派遣教員にアドバイスをするなど、充実した協議会になりました。
第2部(1)派遣教員及び現地機関による報告
(1)東京都教育委員会挨拶
- 本事業は、子供たちが将来世界で活躍できる資質・能力を育成するため、その教育を担う教員の指導力向上を目的としている。
- これまで、700名を超える教員を派遣している。
- 帰国後の授業等での課題や解決策を共有し、今後の子供たちの指導育成に生かしていただきたい。
(2)平成31年度派遣者からの研修報告
マッセー大学(新)に派遣された中学校教員からは、ニュージーランドの紹介や研修で学んだこと、学校訪問時の様子などについて報告がありました。また、ブリティッシュ・コロンビア大学(加)に派遣された高等学校教員からは、帰国後に研修で学んだことをどのようにして周りの教員と共有したか、現地機関担当者から学んだことをどのように指導に生かしているのかについて報告がありました。
(3)現地機関からの研修報告
グリフィス大学(豪)の担当者は、派遣された教員と共に、現地で学んだ内容や研修で使用したオンライン教材の紹介など、研修の成果を報告しました。ブリティッシュ・コロンビア大学(加)の担当者からは、研修の実際の内容や研修施設を紹介するとともに、教員の今後の指導力向上の方策についての提案がありました。また、サイモン・フレーザー大学(加)の担当者は、研修の概要を紹介するとともに、研修を通して培われる指導力や英語力、今後の指導改善の方向性を詳しく説明しました。マッセー大学(新)では、研修で学んだ内容や研修以外で行われたフィールドトリップについても写真を通じた紹介がありました
第2部(2)シンポジウム
Society5.0に向けた英語教育の創造~世界の教育現場の実践に学ぶ~
シンポジウムでは、上智大学の吉田研作教授、クイーンズランド州貿易投資庁スタディークイーンズランド局長のシャノン・ウィノビー氏、クイーンズランド州からTGGへ派遣されている小中高の現職教員、米国大使館経由で東京都教育委員会に派遣されているイングリッシュ・ランゲージ・フェロー及び昨年度の海外派遣研修参加者をシンポジストとしてお招きし、「Society5.0に向けた英語教育の創造~世界の教育現場の実践に学ぶ~」というテーマで御議論いただきました。
吉田教授からはSociety5.0に向けて新学習指導要領改訂の趣旨や内容、小学校から高等学校まで一貫した英語教育を推進することの重要性等についてのお話がありました。ウィノビー氏からは、クイーンズランド州における国際教育の動向やクイーンズランド州の大学が求める学生像についての紹介がありました。オーストラリアやアメリカの教員からはSTEAM教育やクリティカル・シンキング・ストラテジーを用いた生徒に考えさせる授業展開についての実践例が紹介され、世界的な教育の動向を知る良い機会となりました。また、昨年度の海外派遣研修参加者からは帰国後に授業で実践している絵を活用した語彙学習についての事例についての報告があり、多くの派遣教員が自らの目指す教師像について、改めて考えることができました。
参加した教員からは、「これからの社会を生き抜くための思考力、主体的に考える力を授業でどのように育てていくか考える機会となった。」、「知識だけの英語の授業にならないようにしたい。」、「グローバル化した英語の新しい授業を学ぶことができた」という声が寄せられ、今後の授業や英語力の向上に生かすことができる、実りの多いシンポジウムとなりました。