2017年11月1日(水)15時30分から18時まで、都庁内会議室にて、東京都教育委員会とブリティッシュ・コロンビア州教育省とのマッチングイベントとしての情報交換会を開催しました。
この情報交換会は、平成27年度ブリティッシュ・コロンビア州教育省及び高等教育省と東京都教育委員会とが、教育に関する覚書を締結したことをきっかけとして開催したもので、同種のイベントとしては、3回目の試みとなりました。
当日は、学校間交流等に関心のあるブリティッシュ・コロンビア州内の学区関係者や都立学校関係者に加え、在日ブリティッシュ・コロンビア州政府事務所やカナダ大使館の関係者が集まりました。
会議風景
○情報交換会の実施内容
会の冒頭は、カナダ大使館からの挨拶のほか、在日ブリティッシュ・コロンビア州政府事務所の国際教育担当から「ブリティッシュ・コロンビア州の教育と国際教育への取組」について、東京都教育委員会から「東京都教育委員会の国際教育」について、プレゼンテーションを行いました。
在日カナダ ブリティッシュ・コロンビア州政府事務所代表のアブロム・サルスバーグ氏
在日ブリティッシュ・コロンビア州(以下BC州)政府事務所の国際教育担当からのプレゼンテーションでは、BC州教育省の国際教育における政策と活動、BC州の初等中等教育における新カリキュラム、BC州カリキュラムを提供する海外の学校(オフィショアスクール)の情報共有と、留学先としてのBC州の魅力をお話いただきました。
BC州の留学先としての魅力は、高い教育水準、多文化多様性の受容度の高さ、第二外国語としての英語教育レベルの高さ、安心安全な環境、南部においては過ごしやすい気候という面です。経済協力開発機構の国際学習到達度調査のデータでは、BC州の学生は読解力が世界でトップという結果が出ています。大学レベルではカナダの難関大学に入るためのカレッジのシステムは、留学生だけでなく地元の学生にも大変役立っています。また、多くの移民が在住するBC州は地元の学生でも多種多様なバックグラウンドを持つ為、グローバルな環境で勉強が出来ることについて、お話いただきました。
ブリティッシュ・コロンビア州側のプレゼンテーション
その後、ブリティッシュ・コロンビア州内の学区と姉妹校提携を本年度行った、都立三田高等学校から「三田高等学校におけるBC州との国際交流の取組について」をテーマにプレゼンテーションを行っていただきました。
三田高等学校は、学校単位ではなく、ブリティッシュ・コロンビア州内のバーノン学区と協定を結び、学区内の学校と交流を実施する特徴的な取組を行っています。
プレゼンテーションの概要は以下のとおりです。
「姉妹校提携までの道のり」
平成28年4月、三田高等学校は、東京都教育委員会から姉妹校交流推進校の指定を受けた。すでに韓国忠南外国語高校と五年間継続交流を続けていたほか、台湾修学旅行を実施していたが、指定を受け、さらに交流先を拡大するため、英語圏での姉妹校開拓に向けて検討を開始した。平成27年9月に東京都・ブリティッシュ・コロンビア州(以下BC州)との間で、教育に関する覚書が締結されていたことに加え、同年11月にBC州教育セミナーに参加していた実績からカナダへのアプローチを始めた。
夏休み中の現地視察と交渉に向けて、平成28年5月よりカナダ大使館、駐日BC州政府事務所の協力で姉妹校候補へのコンタクトを開始した。駐日BC州政府事務所の紹介で、BC州バーノン地区にある第22教育学区(以下:バーノン学区)のESL(第二言語としての英語)担当者の来日時に、三田高等学校へお招きし、英語教育についてのディスカッションと、姉妹校協定・夏季英語研修について話を伺った。
その後、平成28年8月16日(月曜)から21日(日)へ現地視察を行った。費用、プログラムの内容と国際性、ホームステイ、治安、利便性という観点で9月に校内報告会を開いた。10月に改めてバーノン学区の国際プログラム担当の校長が三田高等学校に来校し、生徒との交流会を開いた後、姉妹校協定や夏季英語研修について最終的な協議を行った。平成29年3月にはバーノン学区より生徒11名・引率者1名が三田高等学校を訪問し、生徒との交流を行った。
上記の検討を受け、4月に参加形態を決定し、夏季英語研修派遣の生徒募集を行った。
「参加者全員が感動!三田高等学校初カナダ研修」
BC州バーノン市での夏季英語研修(サマープログラム)に、平成29年8月7日から2週間、15名の生徒が参加した。
- プログラムの概要
全員がホームステイをして、平日はVernon Secondary Schoolに通学した。半日は学校内で授業。授業では発音や英作文の他、カナダの歴史や地理、国歌も教わった。残りの半日、ハイキングやスタンドアップパドル等を体験して、カナダの美しい大自然を堪能した。 - スタディーバディ(ペアとして活動する現地の生徒)
現地の高校生4名が、授業中の学習サポート、課外活動にも同行した。生徒達は同世代の彼らと友人関係を築けるよう、ミスを恐れず積極的に英語を話していた。また、彼らの心温まるサポートのお陰で、英語学習へのモチベーションをより高めていた。 - ホームステイ
参加者全員がホストファミリーとの時間に満足していた。全てのホストファミリーは生徒達の英語を親身になって聴き、常に励ます姿勢で対応してくださった。中には、湖やキャンプに連れて行ってくださるファミリーもあった。 - 帰国後の成長
参加者の感想を聞くと、「中間考査の点数が倍になった」「海外の大学進学を目指す決意をした」「毎日職員室に行ってJETと英会話の練習をする意欲が湧いた」等、英語学習面においても成長が伺えた。 - 三田高等学校とバーノン学区との今後の交流
平成30年1月に「姉妹校」提携をし、交流を継続していく予定である。 - まとめ
「微笑みの街バーノン市」として、美しい山や湖があり、治安が良く、地元の人は朗らかで陽気な印象であった。生徒達は新鮮な環境での学びによって学習意欲を高め、東京と異なる街や人の魅力に感動していた。今後は姉妹校として、サマープログラムの参加の他、学校訪問等を通して、より充実した交流を目指していきたい。
会の後半は、ブリティッシュ・コロンビア州側の学区関係者及び東京都側の学校関係者による自己紹介の後、個別の情報交換を行いました。
個別に情報交換やディスカッションを行うカナダ側参加者と東京都側参加者
都立学校側がブリティッシュ・コロンビア州側のテーブルを関心に応じて順番に回り、希望する交流形態や実態、今後の連携について個別に話し合ったほか、都立学校同士で国際交流の取組状況を情報交換し合う場面も見られ、盛況のうちに本情報交換会は終了しました。
都立学校が、海外の教育動向や教育環境、学校情報を直接入手でき、担当者と身近に直接対話ができる機会として、こうしたイベントを今後も実施していきます。